先月、私はイギリスのWattbike本社へ行き、数日間のマスタートレーナー研修を受けてきました。そこでトレーニングを学ぶことはもちろんですが、まず始めに行ったことはポジション出しでした。最初に、自分の感覚でハンドルとサドルの位置を決めて乗ってみる。次にマニュアルに沿って私の身体特性に合わせたポジションで乗ってみました。最初のポジションも自分で良いと思ってセッティングしたものなので違和感はなかったものの、きちんと科学的に良いとされるポジションに合わせてもらったところ、第一印象が「ペダリングしやすい!」でした。Wattbikeと自分が一体化するというか、とても腑に落ちる、フィットしている感覚を得ました。ポジションによってもハムストリングが意識しやすいとか、大腿四頭筋に力が入ってしまうとか、そのような違いが出るということを改めて体感した瞬間でした。何年も自転車競技を続け、ある程度のポジションに関する知識はあるつもりでした。しかし今回の経験から、ペダリングの技術の向上を図る以前に、自転車のポジション出しを正確に行うべきだと強く感じました。
最近、自分に適したポジションを出してもらうバイクのフィッティングが流行っていますが、この流行は理にかなっているとも言えます。ポジションの違いによって動員される筋肉も異なってくることを考えると、お金をかける価値もあるのかもしれません。自転車に乗るということは自転車と自分が一体となる必要があります。そのため、まずは身体全体の筋肉を動員しやすいポジションを作ること。そしてその次のステップとして、ペダリングの技術を向上させていくというステップを踏む必要があるのではないかと思います。また、ポジションを出すことをセッティングではなくフィッティングと表現していることも、身体とバイクが一体化することの重要性を意味しているように思います。
トレーニングをしていて、なかなか思うようなペダリングができなかったり、回転数が上がらないなど、パフォーマンスでの行き詰まりを感じたら、ポジションの見直しをしてみるのも良いかもしれません。そして、その後にPolar Viewを見ながらハムストリングを使うように意識してペダリングを行ってみてください。「正しい(自分の身体にフィットしている)ポジションをセットする→ペダリングの練習を行う」という順序で取り組むことで、より効率良くペダリングスキルを向上させることができるのではないでしょうか。
セッティングについて:http://wattcycling.jp/guide/
合田祐美子 公式ウエブサイト
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