11月20日に小倉競輪場で行われた、ガールズグランプリトライアル決勝。小林優香選手は最終2コーナーから強烈な捲りを放ち優勝、年末のグランプリ出場を決めた。今年8月まで東京五輪出場のためにガールズケイリンのレースを走っていなかった、小林優香選手がグランプリに出場するためにはこの精鋭ぞろいのビッグレースで優勝を勝ち取るしかなかった。五輪日本代表としての責任、ファンとメディアからの大きな期待と注目、それだけで十分なプレッシャーを背負うことは想像に難くないが、更に自ら優勝を狙うと公言して敢えて自分自身を追い込んだうえでこの大一番に臨んだように見えた。
その20日ほど前、当社は小林優香選手とスポンサー契約を交わした。
東京五輪を不完全燃焼で終えた、小林選手が2024年パリ五輪に向けてトラック競技を継続することを決意して、当社がそのスポンサー候補となった。当社は小林選手および関係者と話し合いを重ねた後、彼女の挑戦への参画を決めた。プロの競輪選手としてガールズケイリンに絞って活動をすれば多額の賞金収入を得られる小林選手が、それを犠牲にしてまで賭けたいオリンピックというものには経験した人にしか分からない何かがあるのだろう。
当社がアスリートの支援を打診されることは珍しくない。しかし、小林選手がスポンサーを求める理由の中に他とは一線を画すものがあった。パリ五輪を目指すことはいばらの道であり、共に戦うパートナーを探している、そのような利害関係者を持つことにより敢えて責任を背負いたい、という内容であった。最終的に私たちはこの意志に共鳴した。
東京五輪のときは小林優香選手を有力なメダル候補としてレースを応援し、本人が恐ろしく残念な結果を事実として受け入れざるを得なくなったことも想像した。その強烈(だったであろう)な挫折を経て、なお立ち上がろうという小林選手の強さは私たちの心に突き刺さった。
「公益財団法人JKA ご提供」
私たちは小林優香選手が備えている「3つのK」に惹かれている。
それは、「覚悟」、「謙虚」、そして「可能性」。
いずれも私たち自身が持っていたいものだ。私たちも彼女と一緒に戦い共に成長をしていけることを期待している。
11月20日のレースは圧巻だった。ただ彼女の未来はこんなものではないだろう。
いばらの道。しかしそれを自覚して対策を講じて立ち向かう。打たれても立ち上がる。
小林優香選手のこれからを是非ご注目ください。
(Wattbike Japan 代表 大木 満)
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