元ラグビー選手、ジョエル・ストランスキー氏は1995年のラグビーワールドカップ、南アフリカ代表のスタンドオフとして活躍しました。ニュージーランド(オールブラックス)との決勝戦では、今なお伝説として語り継がれる、延長でのドロップゴールを含め南アフリカのすべての得点を決めチームを優勝へと導きました。
引退後はビジネスの世界で活躍し、現在はITテクノロジー会社、Pivotal Capitalで社員400名をも束ねる経営者です。
ラグビーから離れた今も、ワールドラグビー、および 南アフリカのメディアから要請があり、今回のRWCではテレビ解説、レポートなどのため、予選プール開始前から日本に長期滞在しています。
引退後もスポーツ好きは健在のようで、11年前からマウンテンバイクのレースに出たり、日々身体を鍛えているようです。今回、日本への滞在期間中のトレーニング場所として我々のスタジオを訪れてくれました。以下はそのときのインタビュー内容です。ジョエルは本当に腰が低く気さくな方で、自転車ロードレースを行っていた私(合田 祐美子)も自転車という共通の話題で楽しい一時となりました。
- 現在行われているワールドカップで、ラグビー日本代表の躍進は目覚ましいものでした。今回の日本代表チームをどのように評価していますか?
「まずは2015年の話からしましょう。日本が南アフリカを破った試合をブライトンのスタジアムで直接見ていました。試合が始まる前までは正直なところ、日本がスプリングボックス(南アフリカ代表)を倒すとは思っていませんでした。負けた時はもちろん悲しかったですが、このとき日本は素晴らしい試合をしました。」
- 何が日本のラグビーをそこまで強くしたと感じていましたか?
「確実な基礎を築いたように見えました。要因として大きかったのは、ハードワーク、戦略的なコーチング、そしてビリーフ(信じること)でしょう。」
- その上に今があるということですね。
「そうです。今は2015年より更に強くなっています。彼らのラグビーは、速い、スキルフル(巧い)、精神的にクレバー、そしてビリーフがある。観る人に楽しい、素晴らしいと思わせる試合をします。」
- 日本代表チームを取り巻く環境などで感じることはありますか?
「日本のファンの応援は素晴らしいと感じています。彼らはフレンドリーだし礼儀正しい。すべてが好印象です。ラグビーというのは、特別な価値のあるスポーツです。ラグビーは、誠実さ、ハードワーク、チームワーク、規律といったものを内包している。他のスポーツにはなかなかないものです。日本の文化に触れると日本のラグビーが強くなるのは必然だったのではないかと思えます。」
- 現在の日本ラグビーの実力を世界の強豪国と比較してどのように評価していますか?
「世界のラグビー勢力図を語るときに使われる、Tier1、Tier2 という言葉が私は嫌いです。世界のラグビーはもっともっと大きな枠組みの中で新しい勢力が必要です。それが更なる発展につながります。日本、フィジー、サモア、ジョージア、アメリカ。こういった国々が強国の一角に入っていくべきだと思います。日本はアイルランドとスコットランドに勝ったわけですから、世界の強国の一つであることに疑いの余地はありません。」
― 日本で初めて開催されたワールドカップについて、ここまでの印象をお聞かせください。
「素晴らしいの一言です。ラグビーのスタンダードが高くなっているのは勿論ですが、それ以外のすべてが素晴らしい。どの試合もスタジアムは満員です。こんなことは過去のワールドカップではありませんでした。大会運営も素晴らしいものです。日本人が我々、外国人をもてなしてくれることも。本当に最高の日々を送っています。」
- ここからはワットバイクの話をお聞きしたいと思います。日本滞在中も多忙の中、時間を見つけては当社スタジオでトレーニングをされていますが、普段はどのくらいしているのでしょうか?
「冬は週に4回、夏は週に2~3回といったところです。」
ー 何か特別な目的はありますか?
「南アフリカで行われる、ABSA Cape Epicというマウンテンバイクのレースに11年前から毎年出場しています。それに出場するためのベーストレーニングにワットバイクは最適です。また時々、アイアンマン・レースにも出ています。」
- ワットバイクの良さはどのようなところにありますか?
「まずは室内でトレーニングできるところ。それから、実走感覚、フィードバックされる数値の正確性などです。外でのサイクリングをシミュレーションしやすいのもいいですね。あとは何といっても、全てのトレーニングが計測可能ということ。これによって過去の数値と比較して進歩の度合いを把握することができます。」
- 今回のラグビー・ワールドカップでは参加20チーム、すべてのキャンプ地のトレーニングセンターにワットバイクが唯一の公認インドアバイクとして採用されました。ラグビー界では今や標準トレーニングツールと言ってよいほど普及しました。どのようなところがラグビーチーム、選手に受け入れられたのでしょうか?
「まずはオフフィートトレーニングのツールとしての有用性です。バイクはランニングに比べて時間、トレーニング効率が高い、そしてより高強度に追い込めるなど高い利用価値があります。特にワットバイクはアナロビックトレーニングに最適です。それから、ウオームアップのツールとして有用性も高いです。」
- 南アフリカのラグビーでも広く使われていますか?
「スプリングボックス(南アフリカ代表チーム)はじめ、すべてのトップチームが使っています。」
― スプリングボックスなど南アのトップチームは実際にワットバイクをどのようなことに使っているのでしょうか?
「圧倒的にアナロビックトレーニングです。具体的には高強度インターバルトレーニング。30秒くらいの領域の短時間で超高強度のインターバルです。アナロビックトレーニングとして、以前はランニング、ローイングをしていました。しかし、ワットバイクの方が効果、効率ともに断然優位性があります。一方で、エアロビックについては今もランニングやボールを使ったスキルトレーニングの中で行っています。ワットバイクはやはりアナロビックに多用しています。それ以外でも、リハビリ、リカバリーなどにはもちろん有用です。」
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