コロナウイルス感染症対策のために自粛生活が続いている。
今年はレースの開催が日を追うごとに中止となり、どのレースから再開するか今の時点では未定となっている。
レースの再開に向けてどうトレーニングしていくか迷う時期でもある。選手、指導者ともにトレーニングプランの再構築が必要となっていることだろう。
ベースのトレーニングを重視するのか、それともレースに向けた準備をするのか迷うことも多いと思う。
こんなとき、自分は「すべてを解決しようと思わない」ようにしている。
現時点で、何が一番大事か?それを見極めなければならない。
そのために、選手を指導しているとき、気をつけていることがある。
身体の動き等で問題点がある場合、そのすべてを解決しようと思わないことだ。
表に現れている現象に捉われず、その問題点の源になるところを探す。
それを見つけるために、まずは選手の動きをじっくり観察する。
それがわかれば、それを改善するための方策が見つかる。
その一点を改善できれば、多くの問題点も解決する。
自分は、アスリートにとって一番大事なことは、トレーニングを継続することだと考えている。
そのためには、コロナウイルス感染症対策を万全にしながら身体の健康と心の健康を持続させないといけない。
多くのトレーニング施設が思うように使えないなか、屋外でのトレーニング、また家でのトレーニングにも制限があるだろう。
現役時代、酷い怪我をしながらもレースで好成績を上げたことが何度かある。
肋骨を骨折しながらもレースを走ったとき、鎖骨を手術して2週間で復帰したとき、このときは2戦目でF1戦を優勝できた。
痛みがあって身体の動きに制限がかかり、自分の思うようにならないなか、通常では意識していなかった筋肉が動き、痛みがある部分をサポートして大きなパワーを生み出すことができた。
自分が思っていた身体の動きの概念が崩れたできごとだった。
それからは既成概念を打ち破る、新たな発想でトレーニングを考えるようになった。
そのような経験が50歳までS級に連続在籍できた一つの要因になったように思う。
しかし、これはプロのレースでシード権やG1の出場権がかかるからできたことであり、言わば火事場の馬鹿力のようなもので、リミッターが解除された状態での体感。このような身体の使い方を実感するほどの経験は、プロでない限り、あまりお勧めできない(笑)。
現状、トレーニング環境に制限がある選手が大半だと思う。
もやもやとしながらトレーニングしている選手も多いと思う。
そんなときほど、基本に忠実に、強くなることを焦らず、
多くのことを望まず、一番大事だと思うトレーニングを継続してほしい。
●オフィシャルサイト
・元競輪選手 菊池仁志の自転車道場
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