オールブラックスのシーズン中にどのようにバイクを使うかは様々です。
大前提として35~40人のスコッドを抱えて、世界や国内ツアーを通して毎週毎週、選手のフィジカルコンディションをピークに保っていく必要があります。
ただ毎週、試合があるわけではないので常に新しいことを考えて作り上げて選手に高強度ワークアウトを施していく必要もあります。
シーズン中のバイクトレーニングは選手ごとにそれぞれ違う目的があります。
土曜日の試合に備えて体力をピークに研ぎ澄ませていきます。そのために高強度スピードワークをする場合がありますし、有酸素耐乳酸性、あるいは基礎的な持久力、リカバリー的なセッションかもしれません。
また、試合に出なかった選手には次のチャンスに備えて異なるタイミングで異なることを行っています。
オールブラックスにはプレシーズンがありません。選手が選出されてその2週間後のテストマッチに向けて動き出します。従ってワットバイクは基本的に毎週の試合に備えるために使われています。
オールブラックスの多くの選手たちはワットバイクを自分で所有しています。私が買ってあげているわけでもオールブラックスが買っているわけでもありません。選手個々人が自費で購入しています。それだけ彼らはワットバイクがオールブラックス活動のないときにも必要だと考えています。
シーズン中のピーキング時期にどのようにバイクを活用しているかですが、これは計画的、戦略的に行っています。チームの中に有酸素能力の改善が必要な選手がいるとします。彼は走距離を伸ばすこと、80分間プレイする能力を高めることが必要です。そのためには少し低強度で時間は長めのワークアウトが必要です。
他の選手たち、例えば間欠的な最大努力の間のリカバリー能力を高めたい選手には、短いレストで10~15秒マックススプリントを行って、そのワークアウトのレップ数を多くできるように導きます。そしてスプリント時間を短くしていきます。
このようにワークアウトの内容は各人の必要性によって異なります。各々の選手に何が必要かを見極めて生理学的観点から行うべきことを見つけ出していきます。
バイクの堅牢性と信頼性は絶大です。
オールブラックスには本拠地がありません。我々は毎週、世界中または国内の様々な都市を移動していて、いつも違うワットバイクを使っています。バイクの均一性、データの整合性は非常に重要です。計画的に大事なセッションを行う際にそこを信じられることは非常に大きいです。
オールブラックスのようなプロチームのS&Cコーチとして、超級の選手たちにゲームプランに沿った役割を遂行させることには大きなプレッシャーがあります。
私にとって大きな課題はフィジカル出力を決して低減させないこと、確実によりフィットにすること、毎週ピークにもっていくことです。そのために怪我人を出さないことはプロのS&Cコーチとして最も大事な仕事です。
私のワットバイクへの愛着は経験してきた事実からきています。それはフィットネスを高められること、目的とするフィジカルパフォーマンスを高められること、そして怪我のリスクが極めて低いことです。
ワットバイクトレーニングに起因する障害は、ワットバイクを12~13年間使ってきたなかで見たことがありません。
ワットバイクを使ってアスリートをよりフィットに、よりパワフルに、より速くさせてきました。そして故障を経験したことは一度もありません。
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