渋野日向子のスピードトレーニング　～　斎藤大介トレーナーとの取組み

女子プロゴルフ、渋野日向子選手が今シーズンに向けてオフからワットバイクトレーニングを行っています。渋野選手の専属トレーナーを務める、斎藤大介氏はこれまでにリディア・コ、イ・ジョンウン6、畑岡奈紗ら世界トップ選手を担当してきた、ゴルフ界の名トレーナーです。担当選手の米女子ツアー通算15勝という実績があります。渋野選手とは2019年11月からの契約です。

斎藤氏が渋野選手のトレーニングにワットバイクを採用した目的の一つは瞬発力の向上です。現在は3秒間の全力ペダリングを長めの休息を取りながら繰り返すというワークアウトを軸に行っています。このトレーニングにより瞬間的な動作スピードを上げていくことができます。空気抵抗レベルが一定で最大回転数が上がれば、それは下肢の動作スピード、また結果としてパワーが向上したということですので、トレーニング効果の進捗チェックも容易にできます。実際に斎藤氏と渋野選手は、毎回の回転数、ワットを確認しながら行っています。斎藤氏は「その都度、パワーが数値化されてモニター上で確認できることは、トレーニングのモチベーションアップにもつながっています。」と話しています。

渋野選手のワットバイク トレーニング動画はこちら↓

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3秒間スプリントは2月の合宿期間に集中的に行いましたが、動作スピードは徐々に向上していきました。直近ではおおよそ900ワットのピークパワーが確認されています。この数値は高いスプリント力を要する他競技のアスリートと比較してもよいレベルにあります。まだ本格的に取り組んで間もないこと、年齢を考えると今後継続することにより更に数値を上げていくことは明白です。斎藤氏はゴルフというスポーツの特徴を「最大パワーを出す瞬発系のもの。究極の再現性スポーツでありながら、究極の瞬発スポーツでもある。」と表現しています。そのうえでワットバイクトレーニングによる、スピード、パワー向上が渋野選手のゴルフパフォーマンス向上に貢献するという考え方です。

また、斎藤氏は3秒スプリントをルーティンに取り入れることにより、渋野選手の日々のコンディション（疲労度）チェックが容易にできるようになったというメリットも感じています。実際に合宿練習のピーク期には出力ワット値の低下が見られました。ラグビーのように試合による疲労度が高い競技の選手たちはワットバイクをコンディション確認の目的で使っていますが、年間を通して試合、遠征が続くプロゴルファーにとっても有効な使用方法になり得ます。

スピード、パワーの向上に加えて、渋野選手のスイング動作についてもワットバイクによる効果を期待しています。渋野選手は一定のペースで漕ぐときは、Polar View形状に注意を払いながらゴルフスイングに有効なお尻の筋活動を促すペダリング動作を意識して行っています。渋野選手がそのために適切なペダリング技術を習得するまでには多くの時間を要しませんでした。これはもちろん本人の真摯な努力があってのものですが、本質を理解する力と学習能力、そして運動センスの高さの証だと捉えています。

下図は渋野選手が静止状態から瞬発的にスプリントした際のPolar View です。左右バランスの良さが光ります。左右のピーク角度、出力パターンも申し分なく、渋野選手が非常に優れたアスリートであることがわかります。

基本的にサイクリング運動には、伸張性筋収縮による筋への損傷およびそれによる疲労が少ない、障害リスクが低いというクロストレーニングとして決定的に有利なポイントがあります。長いシーズンを通して体調管理が求められる、プロゴルファーにとっては有効なトレーニング方法と考えられます。

様々なユニークなトレーニング方法を開発してゴルファーを成功に導いてきた、斎藤大介氏と渋野日向子選手の新しいシーズンが始まりました。日本中を元気にするような活躍が大いに楽しみです。

斎藤大介氏はゴルファーに向けた有益な情報を同氏のインスタグラム　golf_fit_japan から発信しています。こちらも是非ご覧ください。

斎藤大介氏インスタグラム　golf_fit_japan

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