【三木つばき スノボアルペン　～ 進化を続ける20才～】

欧州を主戦場とする、スノーボードアルペンのワールドカップは現在までに９戦が終了、今シーズンもあと4戦を残すところとなった。

三木つばき選手はここまで１度の優勝に加えて４度の３位と全9戦のうち実に5戦で表彰台に上がっている。レースの開催が少し空いた期間を利用してフィジカル再構築のために欧州から一時帰国した、三木つばき選手にトレーニング後、話を聞いた。

－ 今シーズンのここまでを振り返ってどのように感じていますか？

「5回、表彰台に上がれていて好調です。過去の自身の結果と比べても他のトップ選手たちの毎年の成績と比較してもよい結果が出ていると思います。スノーボードアルペンでは、どれだけ実力がある選手でも転倒のリスクは避けられず、結果がばらける傾向があります。そういう中で安定して結果を出していくということが大事です。9戦中5回の表彰台は例年なら総合ランキングトップでもおかしくないのですが、今シーズンはドイツのホフマイスター選手が4度の優勝、オーストリアのサビーネ選手が1度の優勝、2度の2位と上位固定の選手が出ていることから、この結果でも苦戦を強いられていると感じています。

また、今のところ自分がシーズン前に立てた目標に少し未達なので、これからもう少し頑張りたいと思っています。」

－ 残りのワールドカップ4戦をどのように戦っていきたいですか？

「4戦のうち3戦はベスト４，そしてそのうち1戦は優勝をしたいです。特に2戦ある大回転で2戦ともベスト４，１戦を優勝というのを必達目標にしています。」

－ シーズン中は基本的に欧州のなかで転戦を続けているわけですが、どのような毎日を過ごしているのでしょうか？

「例えば試合が中二日で行われるとします。夕方に試合が終了すると、すぐに次の試合地に移動をします。車で3時間半くらいの移動が多いですが到着後、ホテルにチェックインします。翌日は雪上オフとしてホテルの外やジムでトレーニングを行います。その翌日は午前中に2時間ほど雪上練習、午後はトレーニングをして次の日の試合に備えます。

そんな毎日の繰り返しです。ただ、飛行機移動が入るときは、試合後に移動をしてホテルに入ると日付が変わっているということもあります。」

－ 食事はどうしているのですか？

「朝と晩はホテルで、昼は外のレストランというパターンです。私は炊飯器を持参していますのでお米を捕食として食べることもあります。試合の日は自分でおにぎりを作って予選と決勝トーナメントの間に食べています。」

－ 今シーズンも残り少なくなってきました。現時点で次のオフシーズンの取り組みで考えていることはありますか？

「トレーニングの方向性は間違っていないように感じています。

筋力アップ、出力アップが大きなテーマになると思います。上半身の強化もしたいです。また、自分の体をより自在に使えるようにもしたいと思っています。」

－ 長期的な目標は？

「2026年2月、ミラノ五輪での金メダルです。競技面でその後のことを今は考えていません。」

― 競技を続けていく中で一番大変なことは何ですか？

「競技を行える環境を一から自分で作っていかなくてはならないことです。そして作るだけではなく、それを維持していかないといけない。現在、ヨーロッパにはトレーナーとサービスマンに帯同してもらっています。その体制があってこそ結果を出していくことができます。ただ、そのためには資金も必要になってきます。」

当社は2022年春から三木つばき選手のワットバイクトレーニングをサポートしている。

三木選手は今シーズンのワールドカップシリーズにおいて現在のところ、大回転で1位、回転では6位という好位置につけている。

スノーボードアルペンという競技は国際競技会のほとんどが欧州で行われ、トップ層で戦う選手の多くは欧州の20代後半の選手たちという中で、20才の日本人がこれだけの成果を挙げている意義は大きい。彼女は非常に高いコミュニケーション能力を有しており、思考力、理解力も高い。この辺がどのように競技パフォーマンスに影響を与えているのかは興味深い。

ワットバイクのトレーニングでは、ここまでピークパワーとRFDの向上、パワー持続力の向上、下肢の動作改善にフォーカスしてきた。ピークパワーはトレーニング開始当初から既に22%の向上を見せて他競技の女子アスリートと比較してもトップレベルにある。ペダリング動作も改善が進み理想的なPolar View形状に近づいている。

ただ、依然として発展途上にあることは間違いなく伸びしろの塊と言えるだろう。これから更に大きく羽ばたいていくことを楽しみにしている。