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NECレッドロケッツ川崎のトレーニング ~柳田光綺コーチに聞く

2024年08月01日 更新

バレーボール(女子)国内最高峰の2023-24 V.LEAGUE DIVISION1 WOMENシーズンにおいて2連覇を達成したNECレッドロケッツ川崎。そのシーズン終了後に、10年間にわたりチームに貢献してファンに愛された、柳田光綺選手の引退が発表された。

身長168cmにして最高到達点は驚異の304cm、コートに入れば一瞬にしてゲームの流れを変える閃きや創造性のあるプレーは多くのファンを魅了した。まさにバレーボール界のファンタジスタ。一度でもNECレッドロケッツ川崎の試合を観に行った人は彼女がどれだけファンに支持されていたかを実感しただろう。

惜しまれながらコートを去り、新しいシーズンから同チームのコーチに就任した、柳田光綺さんに、行っていたワットバイクのトレーニングについてお話を伺った。


©NEC RED ROCKETS KAWASAKI


-バイクトレーニングについて

「チームでは、ワットバイクを導入する前も少しですがバイクを使った息上げのようなトレーニングをしていました。しかし当時はフロアを走るトレーニングが中心で、バイクは故障者がリハビリで使うという感じでした。2017年にワットバイクを導入してからは、バイクトレーニングは体力向上やスピード強化などを目的にしたより積極的なトレーニングに変化ました。」

-6秒スプリントの効果

「ワットバイクで6秒スプリントを5セットといったメニューをよく行いました。回転数を意識して行うスピード強化トレーニングです。これはバレーボールのプレー中の走りとジャンプ動作の向上に効果がありました。

走りの面では切り返し動作(方向転換)、これは実際には横向きの動作ですが、特に一歩目の加速が改善しました。

ジャンプについては高さが上がりました。午前中にワットバイクの6秒を行って午後にチーム練習を行うと、コーチから「スパイクのポイントが上がった」と言われることがありました。跳躍高はワットバイクを取り入れてから確かに上がりました。」

-有酸素トレーニングの効果

「練習後や週末に軽い負荷で70~80回転で40分くらいの有酸素トレーニングを行っていました。コンディションを整える目的でしたが体がほぐれやすく、翌日は体の重さが抜ける感覚がありました。

また、一定時間、継続的に漕ぐことでハムストリングスや体の後ろ側を使えるようになりました。ジャンプでは、お尻や背中を使えるようになりました。体の前側を使うと怪我のリスクが高まりますので、これは大事なことだと思います。」

-故障中のトレーニング

「2022-2023年シーズンに肩の怪我で2か月間、プレーができない時期がありました。

このときは腕を振れない、振動もよくない、という状態でしたが、ワットバイクで心肺能力強化に努めました。そのおかげで、怪我が治りチームに合流したときに心肺的な問題はなくチームのメニューにすぐに入れました。

また、集中的にワットバイクに取り組んだことで下肢の使い方が改善しました。」


©NEC RED ROCKETS KAWASAKI


-選手からコーチに転身して思うこと

「選手としてやり切ったという思いがありました。そして今後はチーム、選手をサポートしたいという思いを持っています。

コーチの仕事は難しいですね。選手のときはプレーで周りに伝えてきましたが、今は言葉で人を動かす難しさを感じています。でも面白さも感じています。選手のときより人と話すことが増えました。スタッフだからこそ知れること、できることもたくさんあります。」

身長168cmで最高到達点は304cmでワットバイクのピークパワーが1000ワットを超えるという事実はその相関性の高さを裏付ける。

また、話してくれた内容は示唆に富む。短時間のインタビューでポイントを簡潔に分かりやすく伝える能力は彼女がコート内で見せたプレート無関係ではないだろう。

怪我や病気など多くの苦難を乗り越えた競技生活だったと聞く。一つのことをやり抜いて、その先にある新たなスタートラインに立った柳田光綺さんの今後の活躍を応援したい。


©NEC RED ROCKETS KAWASAKI

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