Hirai Racing Team STUDIOには様々な目的の方が来られていますが、脳梗塞を発症し、現在はご自身でリハビリを行っているという男性も来られています。この先の人生を楽しみたいからと日々欠かさずトレーニングに励まれています。
荻窪のスタジオにはAtomとAtomXの2台を置いていますが、Atomはロードバイクを再現しトップチューブが高く設計されているため、脚を大きく上げてまたぐ必要があります。一方でAtomXはトップチューブが低く比較的乗り降りしやすくなっているため、今回はAtomXを使用することにしました。
初めて来られた時、既にご自身でリハビリをされていたこともあり、私がイメージしていた状態よりは相当良いものでした。それでも右側が麻痺しているということで、ペダリングをしてみると右脚の出力が極端に低くなっていました(左61/右39)。
最初の1か月は心拍数を管理しながら右脚の出力を意識して5分間50rpmでペダリングを行いました(休息を挟みながら3セット)。左は普通に力が入るのに右は相当意識しないと難しいようで、数分間でも集中して行うと疲れるようでした。
それでもAtomXのモニターに表示される左右バランスを見て、初回のセッション後半には左右均等に力を発揮できていました。「モニターによって視覚的にフィードバックがあると分かりやすい、良いですね。」とご本人もおっしゃられていました。今回のセッションを通してアスリートだけでなく、一般人にも、そしてリハビリを行う方にも視覚的にフィードバックしてくれるワットバイクのペダリング分析機能は有効だと再確認しました。
また右脚での出力で意識するポイントとして、ペダリング中に働く脚の筋肉の説明を行い、ハムストリングに刺激を入れることが良いのではないかという提案をしました。その話をした際、見てもらっている柔道整復師からもハムストリングが弱いと言われたそうで、トレーニングの方向性に納得されました。ハムストリングを働かせるために5分間のペダリング中は常に右脚の「4~8時」を意識してペダリングを行ってもらうようにしました。6時といったポイントではなく「4~8時」という動きを意識することで踏むだけではない円運動のペダリングに近づいていったように思います。
現在、3か月が経過しますが、コンスタントに右脚も45以上で出力できるようになりペダリングも滑らかな楕円形を描くようになってきています。最初は頑張って右脚に力をかけるだけのペダリングでしたが、今は上半身の無駄な力も抜け左右でペダルを上手く回せられるようになっています。
これまでもワットバイクはリハビリ目的で導入されてきましたが直接関わったことはなかったため、今回リハビリのトレーニングに携われたことは私にとって大きな経験となりました。
次回、Health Assesment Submax Testの結果とCRFプログラムの進捗についてお伝えしたいと思います。
https://www.hirairacingteam.jp/studio/
Wattbikeマスタートレーナー 合田 祐美子
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