スピードスケート、吉田雪乃選手に対してのワットバイクのトレーニングサポートを開始して2か月強が経過しました。
当社は、測定やトレーニングの立ち合い、メニューの作成、レビューなど吉田選手のパフォーマンス向上のために全力で取り組んでいます。また、吉田選手のサポートに参画している清水宏保氏(長野五輪、金メダリスト、当社アドバイザー)の知見を取り入れながら進めています。
吉田選手は高校時代からワットバイクを活用していたこともあり、トレーニングへの適応は早く進捗は順調です。
©2025 mmmayuko08_Photos
現在のワットバイクでのトレーニングは持久力(高出力の持続)の向上を目的に、主にミトコンドリアの量的、機能的改善を狙ったものです。
具体的には、①一定時間の継続ビルドアップ漕 ②高強度インターバル ③スプリントインターバル を組み合わせたプログラムを実行しています。
ビルドアップ漕と高強度インターバルを行う際に最も重要なことは、各セッションを最適負荷、即ち最適なレベル、回転数、時間、セット数で行うことで、それはワットバイクによる30秒、3分テストの結果分析を起点に試行錯誤を重ねて導き出しています。
吉田選手についてはワットバイクのPolar Viewが示す通り、ペダリングスキルおよび長時間の継続ペダリング動作の再現性が極めて高く、各メニューを最適負荷で実行することにより狙い通りの高いトレーニング効果を得ることが期待できます。ワットバイクのトレーニングで能力を高めていく適性が高いと見ています。
上述3パターンの中でもスプリントインターバルをポイントに据えています。これは一定時間を最大努力で、完全休息を挟んで数セット行うものです。「最大努力」で行うことにより非常に高いトレーニング効果を期待できるトレーニングで、そのためには選手の強い意志が必要となります。その部分は本人の強い意志を期待するとともに当方も本人の「全力」を引き出せるようにサポートしています。達成したトレーニング強度の指標として出力ワット値や本人の自覚的運動強度(RPE)に加えて各セット後の血中乳酸濃度計測を行うこともあります。
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選手はできればやりたくないと思うレベルの高強度トレーニングですので、これをどの程度の頻度で、どのような状態で行うかもトレーニング効果を最大化するための重要な戦略です。
当方はこれらのトレーニングを通じて吉田雪乃選手の潜在能力の高さを確認するとともに、その能力を更に高めることに加えてレースで最大限、発揮できるようになるための方策を考えています。
一方で、吉田選手自身がここまでのトレーニングをどのように感じているかについて話してもらいました。
「ワットバイクのインターバルトレーニングを通して、自分でも知らなかった能力がまだあるということを知りました。同時に、スピードスケートに活かせるパフォーマンスの出し方、追い込み方などの課題が明確に見えてきました。とても辛いトレーニングですが、冬に向けて自分自身、とても楽しみな状況です。」
競技、トレーニングに真摯に謙虚に向き合い、向上心、理解力の高い選手です。現在はミラノ・コルティナ大会2026シーズンに向けての重要なトレーニング期です。当社は吉田雪乃選手のパフォーマンスの向上に少しでも貢献できるように引き続き最善を尽くしていきます。
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吉田雪乃(よしだ・ゆきの)/2003年生まれ。167cm、56kg。岩手県立盛岡工業高校時代より、本格的にスピードスケートを始める。20年、ローザンヌユースオリンピックの女子500mで3位、NOC混合チームスプリントで優勝。22年、世界ジュニアスピードスケート選手権の500mで2位、1000mで優勝。24年、ワールドカップの初戦(長野)、第2戦(北京)で優勝。株式会社寿広所属。
*上記プロフィールは、「Tarzan Web 2025.5.27」から転載
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